起源
合理情動行動療法（Rational Emotive Behavior Therapy、REBT）は、アメリカの心理学者アルバート・エリス（Albert Ellis）によって1955年に創始された心理療法です。REBTは認知行動療法の一種であり、人の感情や行動は外部の出来事ではなく、人の信念によって決定されると考えます。REBTは、人々の非合理的な信念が感情問題や行動問題の根源であり、これらの非合理的な信念を変えることで、感情問題や行動問題を解決できると主張します。
REBTの核心理念
REBTは、出来事が直接人の感情や行動を引き起こすのではなく、出来事に対する人の見方が感情や行動を引き起こすと考えます。REBTは、人々の非合理的な信念が感情問題や行動問題の根源であると主張します。
非合理的な信念の本質は、強制的で非常に極端な要求であり、対象によって以下の三種類に分けられます：
- 自分自身に対する必須信念
- 他人に対する必須信念
- 客観的な世界や環境条件に対する必須信念
対応する三つの例：
- 私は無条件にうまくやらなければならない、さもなければ私は無能である
- 他人は無条件に私に良くしなければならない、公平に扱わなければならない、さもなければ彼らは呪われるべきである
- 私の住環境は整然としていなければならない、そうすれば私は望むすべてを得ることができ、望まないすべてを避けることができる、さもなければこの世界は非常に恐ろしい場所である
REBTは、これらの非合理的な信念を変えることで、感情問題や行動問題を解決できると主張します。
ABCDEモデル
専門的な背景がなくても、普通の人々はREBTの核心理念を学び、ABCDEモデルを通じて自己治療を行うことができます。
- A（Adversity）：出来事。あなたに起こった出来事。
- B（Belief）：信念。出来事に対するあなたの見方。
- C（Consequence）：結果。出来事に対するあなたの見方が引き起こす感情や行動。
- D（Dispute）：疑問。あなたの非合理的な信念に対する疑問。
- E（Effect）：効果。非合理的な信念に疑問を投げかけた後に生じる新しい感情や行動。
非合理的な信念を見つけた後、これらの信念に疑問を投げかけることで、新しい合理的な信念を生み出し、自分の感情や行動を変えることができます。
実際の例
例えば、失敗した面接のために落ち込んでいるとします。自分が完全な失敗者であり、未来には何の希望もないと感じている場合、ABCDEモデルを使って自己治療を行うことができます：
- A（Adversity）：失敗した面接。
- B（Belief）：私は完全な失敗者であり、未来には何の希望もない。
- C（Consequence）：落ち込み、次の面接に影響し、非常に悪い気分になる。
- D（Dispute）：一度の失敗した面接が私が完全な失敗者であることを証明するわけではない、まだ多くの機会がある。面接官が私を不適切と判断したのは私がコントロールできないことであり、どの面接官にも主観的な好みがある。答えられなかった質問から多くのことを学び、再び同じ過ちを犯さないようにすることができる。最悪の場合、将来も失敗し続けるとしても、他の道が必ずある。
- E（Effect）：私はかなり気が楽になり、自分が完全な失敗者ではないことを知り、失敗から多くのことを学び、次の面接に向けて努力し続けることができる。
一部の疑問
一部の人々は、REBTが自己欺瞞であり、自己慰めを通じて問題を解決するものであると考えています。しかし、ここで重要なのは、自分がコントロールできることとできないことを区別することです。もしあなたの気分を悪くしているのがコントロールできないことであれば、そのことにエネルギーを費やす必要はありません。また、REBTは努力や変化を必要としないと言っているわけではなく、自分の見方を変えることで感情や行動を変える必要があると主張しています。主観的に言えば、もしある信念があなたに本当に幸せと利益をもたらすのであれば、その信念を過度に評価する必要はないのではないでしょうか？
一部の不安管理方法
アルバート・エリスの著作から、ssshooter.comによってまとめられたもの：
- 積極的なイメージング法、模倣法：成功の状況を想像し、その状況で不安を感じない人を模倣する
- コスト-ベネフィット分析：例えば、飛行機事故を恐れて飛行機に乗らないことはベネフィットが低い行動であり、また自己責任も低ベネフィット行動である
- 心理教育：本を読む、カウンセラーを探す、心理的マッサージ
- リラックスと注意分散法：人は同時に二つのことに集中できないことはよく知られており、不安を和らげるために使用できる
- 過度な思考の抑制法：AとIBを誇張することを抑制する
- 問題解決法：積極的に解決策を探すが、最初から完璧に解決する必要はない
- 無条件の自己受容法（USA）：個人は自分の全貌を受け入れるべきであり、自分の弱点や過ちを否定、否認、または回避するのではなく受け入れるべきである
- 無条件の他者受容（UOA）：個人は他人の個性や行動を尊重し受け入れるべきであり、他人を変えたり評価したりしようとするのではなく、寛容を選ぶべきである
- 合理的な感情イメージング法：積極的なイメージング法に近く、最良と最悪の状況を想像する
- 恥辱-攻撃練習：意図的に恥ずかしいことを行い、恥辱感を「拒否」する。恥辱は自己卑下をもたらす
- 役割演技、討論の変形
- 思考スタンプ：新たに得た合理的な信念は最初は弱いものであり、意識的に覚え、強調し、実践することで、不安を克服するのに役立つ
- ユーモア感覚：ユーモアは寛大な心を保ち、ストレスを解放するのに役立つ
- 暴露療法と系統的脱感作法：積極的に暴露し、さらには意図的に失敗し、失敗後に合理的な信念を形成する
- 不安を引き起こしやすい状況に対する耐性と適応
- 自分に対する報酬と罰の設定
- ジョージ・ケリー（George Kelly）の固定役割演技：装う、Fake it till you make it
- 生物学的および薬物療法